特別養護老人ホームへ入居するにあたって

特別養護老人ホームに入居する高齢者と、老人保健施設に入所する高齢者の状態はどう違う?
 現実問題としては、ほとんど違いません。入院治療の必要がなくなったご老人の場合、理想としては家庭に戻って、公的・私的な介護・援助を受けながら生活できるのが幸せだと思うのですが、現状では受け入れてくれる家庭が少ないのです。
 つまり、お年寄りの事情と言うより家庭の事情が大きいわけです。しかも、特養は原則として一生そこを出されることはありませんので、悪い表現をすれば誰かが亡くなったり重い病気になって長期間病院に入院するというようなことがない限り空きが出来ませんので、なかなか新規の入所が出来ません。
 そのため、本来なら特養がふさわしいお年寄りの場合でも、老健に入所と言うことになるケースが多いのです。 とはいえ、今では老健もどこもいっぱいで、なかなか入ることは出来ません。
特別養護老人介護施設の入所について
【質問】
 祖父母は二人暮らしです。祖母は認知症で自分の身の回りの事をすることができません。また、祖父も足と目が悪く自分の身の回りのことをするのが精一杯です。
 今回、祖母が特養へ入所することが決まりました。祖母は専業主婦であったため、今まで、祖父の扶養です。今回の入所に際して住民票を特養へ移す(世帯を分ける)わけですが、今のまま祖父の扶養にに入れておいたほうがよいのでしょうか?
 世帯を分けることによって、祖母へ直接入る年金が減るため特養で必要な費用が少なくてすむと聞きました。自治体によって各種制度は違うと思いますが、よい方法を教えてください。

【回答】
 もうお母様は、入所が決定しているのですよね?それでは、一度入所が決まっている特養の相談員さんが、役所に相談するのが一番だと思います。
 入所が決まっているのであれば、費用のこともご存知だと思いますが、入所はまず介護度で介護費用が分かれていて、居住費と食費は入所される方の収入額で決まります。この居住費と食費が、世帯を分けることによって安くなるかも知れません。また「社会福祉減免」というものもあります。これも、相談員さんか役所で相談してください。申請時の提出書類がたくさんあってややこしいですが、費用は安くなります。
 一番いいのは生活保護(以下「生保」という)ですが、とりあえずケアマネに相談して、ダメモトで申請してみてください。確立は低いですが・・・。
 次に、生保がダメでしたら、あなたの祖母の担当してるケアマネに相談して「社会福祉法人軽減」という制度の申込をしてみてください。この制度は高齢者の二人暮らしだったら通りやすいので、社会福祉法人が経営する施設の費用の25%か50%(認められると、どっちかの%)で割引されるいい制度です。
 ただし、特別養護老人ホーム(以下「特養」という)は結構社会福祉法人ではないところ(例:医療法人や民間会社など)だと割引されませんので、社会福祉法人の特養に入らなければなりません。
 その辺りを、祖母のケアマネと話し合ってみてください。ただ、その前提として、介護保険申請していないと話になりませんので、お近くの地域包括支援センターにその旨(生保・社会福祉法人軽減・介護保険申請)を相談してみてください。

【質問】
 有料老人ホーム、特別養護老人ホーム、特別介護老人保健施設の違いが分かりません。
 費用や受けられるサービスの違いなどあるのでしょうか?
 また、入居の期間なども定められているのでしょうか?

【回答】
 有料老人ホームは料金がまちまちです。入所時0円から3000万円以上・月利用料金50〜10数万円、特別養護老人ホームも制度が一昨年10月より変わり、収入により条件が異なり、施設によっても異なります。要介護4ですと(5〜16万円)もちろん入所金はなしです。長期入院にされないと一生入所できます。
 大阪では入所の待機者が50〜300名待ちです。
 老人保険施設は在宅と病院との中間施設です。ですから目的は自宅に帰ることですから入所期間は3〜6ヶ月です。施設によっては1年間入所させてくれる施設もあります。料金的には7〜15万円程度ですが、収入や個室利用により料金は異なります。 あくまでも目安です。
有料老人ホームと介護保険
介護保険とは?
 高齢化社会が進み、介護の負担が社会問題化する中、介護の負担をできるだけ減らそうと2000年4月に始まったのが介護保険制度。
 介護保険とは40歳以上の国民から徴収した保険料と、国と地方自治体の公費を財源にした、介護(※)が必要と認定された方が費用の1割を負担することで受けることのできる保険制度です。
 サービスとして、訪問ヘルパーによる食事、入浴、トイレなどの身の回りのサポートやリハビリテーションを受けたり、介護施設の利用などが出来ます。

  ※65歳以上の方(第1号被保険者)介護や支援が必要と認定された場合。

 40歳〜65歳未満の方(第2号被保険者)特定の疾病が原因で介護や支援が必要と認定された場合。
介護保険の申込から認定まで
 介護保険のサービスを利用するには、介護が必要である状態であるということの認定(要介護認定)を受ける必要があります。
 この認定は、最寄の市区町村の役所へ申請することで受けることができます。

 申請後には、市区町村の役員や委託を受けたマネージャーと呼ばれる介護支援専門員が家庭を訪問して調査を行い、この調査結果を基にコンピューターによって一次判定が行われます。
 その後、一次判定の結果と主治医の意見書を基にした、医療・保険・福祉などの専門家による介護認定審査会の検討によって、最終判断が下されます。

認定基準
 認定作業を経て最終的に介護の必要度により「自立」「要支援」「要介護1〜5」に分類され、認定結果が通知されます。
 認定基準については、「自立」が介護の必要はないと判断された状態、「要支援」が食事やトイレなどは自分で出来るが一人で生活するには何らかの支援が必要な状態、「要介護」が介護が必要な状態で症状の重さにより1〜5に分けられます。

「要支援」や「要介護」に認定されれば介護保険のサービスを受けることができますが、「自立」と判断された場合は介護保険のサービスを利用することはできません。

 もし認定結果に不服があり再審査を受けたい場合は、各都道府県に設置されている介護保険審査会に不服申請を申し立てることが可能です。
また、2006年度から新たに「要支援2」が加えられる予定で、現在の「要支援」は「要支援1」となります。
症状の目安 支給額上限
【東京都の場合】
要支援 ほぼ自立して生活する能力があるが、生活する上で何らかの介助が必要な状態。 64,300円

要介護1 自立した生活はある程度できるが、歩行や立ち上がりなどの動作に多少の不安があるなど、部分的な介護が必要な状態。 175,400円

要介護2 歩行や立ち上がりなどの動作が難しいことが多く日常生活に支障をきたす状態、食事や排泄など、部分的または全面的な介護が必要。
                                                                                    205,800円


要介護3 歩行や立ち上がりなどの動作がかなり難しく、食事や排泄などに全面的な介護が必要な状態。 283,200円

要介護4 立ち上がりなどの動作が非常に困難で、生活の大部分に全面的な介護が必要な状態。 323,900円

要介護5 寝たきり状態など生活に必要な動作がほぼできなく、生活全般に全面的な介護が必要な状態。 379,500円

あくまでも目安です。
有料老人ホームと介護保険について
 介護保険というと、自宅にヘルパーを呼び、身の回りの世話やサポートをしてもらう訪問介護のイメージが強いですが、特定施設で入所介護サービスを受けるときも介護保険が利用できるため、有料老人ホーム入所の際でも、自宅療養の場合と同様に介護保険が適用されます。

 また、介護に重きを置く介護付きタイプの老人ホームでは、入所には介護保険を利用するための要介護認定をされているところが条件の有料老人ホームも少なくありません。
有料老人ホームによる代理申請
 介護を受けられる有料老人ホームへ自立した状態で入居して、介護が必要な健康状態になってしまい要介護の認定を受けなければならなくなった場合は、本人や家族が申請する代わりに、ホームで代理で申請してもらうこともできます。
有料老人ホームで利用する介護保険
 「住宅型」「介護付き」など、介護サービスを提供しているタイプの有料老人ホームで受けられる介護サービスは介護保険が適用され、要介護認定を受けていれば自己負担分の費用の1割を負担することで利用することができます(部屋や施設の利用料や食事代などは含まれてません)

 また、「住宅型」のホームと「介護付き」のホームでは受けられる介護の内容が違います。
「住宅型」のホームでは自宅で訪問介護を受けるように外部のヘルパーをホームに呼んで介護を受けますが、「介護付き」のホームでは介護サービスを提供できる特定施設入居者生活介護が受けられる施設として指定されていて、ホームに介護を行うことができるスタッフが常駐しているので、24時間いつでも介護を受けることができます。
要介護認定と有料老人ホームの入居資格
 有料老人ホームは要介護認定の介護の必要度によって、入居資格を認定しています。

 ホームによっては要支援や要介護の認定を受けていなければ入居できにないホームや、逆に自立していなければ入居できないホーム、または自立から要介護5まで幅広く受け入れるホームがあります。

 また設定された介護の必要度によって、ホームへ支払う料金も変化します。

 有料老人ホームを選ぶ際は、入居資格がどのようになっているかを必ずチェックしておきましょう。
改正後の介護保険について
 2005年度の秋に介護保険制度が見直されました。

 要介護認定の介護度の「要支援」と「要介護1」の間に「要介護2」が加えられ、要介護状態にならないための筋力トレーニングや栄養改善などの介護予防サービスの開始や、介護費自己負担分の1割負担の上限額引き下げなどの変更などが実施されます。

 最大の変更点としては特別養護老人ホームが含まれる介護養護施設やショートステイなどの施設利用者から、今まで徴収していなかった食費、居住費など生活に必要な費用であるホテルコストが徴収されることになりました。

 ホテルコストが徴収されるようになったり理由

 2000年度に介護保険制度が実施されてから、施設介護の需要が増える一方で在宅看護数の伸び悩みが問題となりました。

 改正後のホテルコスト徴収の実施は、在宅看護の数が増えない原因を施設介護と在宅介護にかかる費用の差にあるという考えから、施設介護で徴収されていなかったホテルコストを徴収することで在宅介護とのバランスを図り、不公平感を解消するのが狙いとしたものです。

 この改正により特別養護老人ホーム利用者の負担額は、地域によっても違いますが負担が最も大きくなる人は5万円近く改正前より多く払わなければなりません。

 ただし所得によってホテルコストの徴収額が変化するので、低所得者の負担は低く押さえられるようになっています。

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