河村市長のマニフェスト公約実現の可能性 【平成21年6月定例会】

市民税10%減税と経営アドバイザーとの連携について質問をさせていただきます。

 今回の「市民税減税の基本的な方針に関する条例」は、5つの条文からなる、非常に簡単なものであります。その理由は、住田副市長をトップとする減税検討プロジェクトチームから「財源の見通しが立たない」との提言を受けたにもかかわらず、市長の強い思いにより、基本的な方針だけでも、構わないからとにかく、条例案を出せということで、大急ぎで取り繕った結果であろうと推測するところであります。


 「急いてはことを仕損じる」といいます。減税というのは市民にとって非常に重大な改革であります。だからこそ、慎重に議論しなくてはなりません。

 しかし、この条例案では、減税の規模と実施時期を除き、具体的なことがまったく示されておりません。特に、減税の内容や財源の確保など最も重要なところについて、具体的なことがなにもありません。

 特に、財源の確保につきましては、「事務事業の見直しその他徹底した行財政改革の推進による歳出の削減を行うとともに、歳入の確保に最大限努める」とされていますが、私はこの財源確保について不可能と言っても過言でないと思っています。

 減税に伴う減収については、徹底した行財政改革で対処するということですが、何をどのような順番で見直すのかが最も重要なポイントであると考えます。やり方によっては市民サービスをはじめ色々なところに大きな影響が出る可能性があるからです。

 効果の薄れた事業があればそれを見直し、より効果の高いものに振り向けることは否定しませんが、福祉、医療、教育といった市民にとって必要な予算を無闇に削ってはなりません。また、職員の人件費についても同様です。

 これまでのやりとりでは、市民サービスを低下させないといっておられますが、実際、行財政改革をどの様に進めるのか、議論するためのたたき台すらない状況で、責任を持った議論が果たしてできるのでしょうか。


 そこで、市長にお伺いいたしますが、市長はマニフェストを書かれた本人ですので、減税の方法などについて、恐らく具体的なビジョンをお持ちだと思います。

 まさか「減税検討プロジェクトチーム」に丸投げということはないと思いますので、具体的な減税の効果、減税の方法及び行財政改革の進め方について、市長ご自身のお考えを確認したいと思います。

 ≪経営アドバイザーとの連携について質問≫
 名古屋大学の後房雄教授は、河村市長のマニフェストをつくった政策集団、「チーム河村」の中心的なメンバーであったと聞いています。 とりわけ、河村市長の2大公約の「市民税減税」「地域委員会」の立役者とも言われています。

 河村市長のマニフェスト公約実現のためには経営アドバイザーとの連携が重要だったはずです。その後教授が、行政経営室の室長に電話で「一身上の都合で辞めさせて欲しい」と辞意を伝えと聞きましたが、6月定例議会開催直前の市民税10%減税についての本格的な論戦の火蓋が切って落とされるこの時期に「なぜ?」の疑問がわきます

 ちまたでは、辞任の理由について様々な憶測を呼んでいます。昨日の議会質問でも任命した河村市長の責任論もでました。

 透明感をモットーとする河村市長のこと。ぜひ、理由を明確にしていただきたい。

以上で私の第1回目の質問を終わります。

≪再質問≫

 「市民税減税の基本的な方針に関する条例案」は、市民税を10%減税するという単なる市長の決意の表明にすぎません。具体的なことは一切書かれておりません。従って減税が定率減税とするか、定額減税とするのかも全く分かっていません。
条例案第3条には財源の確保として、「市民税減税に当たっては、事務事業の見直しその他の徹底した行財政改革の推進による歳出の削減を行うとともに、歳入の確保に最大限努めるものとする」と書かれており、河村マニフェストでは「減税による減収分は、徹底した行財政改革により無駄遣いを根絶することで対処する」としていいます。

加藤武夫議員による試算でも減税を含む主なマニフェスト実施に要する経費を含め約560億円の財源が必要としています。到底560億円もの財源を生み出せるとは考えられません。

また財源確保の問題はその他に起債申請、補助金申請など数え切れないほどの問題を抱えています。そうした点が明らかにならない以上賛否の投じようがないと思います。

マニフェストによれば、行財政改革や見直しに関していくつか書かれています。

・外郭団体の徹底検証として、名古屋市と外郭団体との契約は、民間企業やNPOなどと公平な競争条件で行うこととし、優遇措置は撤廃すること
 4大プロジェクトについては、いったん立ち止まって、市民に約束する諸施策との関係を検討した上で、優先順位、実施時期、規模・内容などを決定することなど、色々な提案がなされています。

昨日の市長答弁で「市職員人件費総額10%削減」の考え方が示されましたが、職員の人件費のカットに手を付ける前に、まず、やるべき見直しがあるのではないでしょうか。

河村市長のマニフェスト公約には議会改革も示されています。議員定数の削減、議員歳費の削減、政務調査費、費用弁償も提言されています。

そのことについては全く触れられておられませんが、職員に血を流させる前にやるべきことがあるのではないのでしょうか。

 例えば、姉妹・友好都市交流、海外使節の接遇、ロサンゼルス市姉妹友好都市提携50周年記念事業など4718万円

 個人・常任・特別委員会視察と合せて一名当たり議員1人当たり54万円×75人=4050万円、

 4年に1回の海外視察が120万円×75人=9千万円

 議員1人当たり(議員報酬、費用弁償、政務調査費、議員年金事業主負担分の総額)

 2348万円×75人=17億6100万円となります。

議会改革について議会側も大変なことです。お金持ちにしか議員はできなくなってしまうかもしれません。

 バナナのたたき売りではありませんが、このことで職員も議会も疲弊してしまい。元に戻すこともできなくなってしまう恐れもあります。

 それでもあえて減税も断行なさるおつもりなのか。
一度立ち止まって減税を撤回する勇気も必要と思いますが、市長の見解を再度お聞かせ願います。

≪市長より答弁≫
(1) 減税効果に対する市長の考え方

 市民税減税の効果につきましては、可処分所得の増加による生活支援や、個人消費の拡大及び法人の設備投資の増加などによる地域経済の活性化のほか、企業の進出や定住者の増加に対するインセンティブが考えられ、また、減税額が雇用の確保などにも当てられた場合には、雇用所得環境の改善にも一定の効果があると考えているところでございます。


(2) 減税方法に対する市長の考え方

 マニフェストでは、定率減税、定額減税のほかに、子育て減税や勤労者減税、社会保障減税といった様々な減税の姿などを掲げたところでございますが、プロジェクトチームに対しては、現下の経済状況に対応した市民生活の支援や地域経済の活性化を図るとともに、将来の地域経済の発展に資するという減税の趣旨を踏まえて減税制度を構築し、あわせて徹底的な行財政改革を進めるための方法を検討するよう指示したところでございます。

 現在、プロジェクトチームにおいて検討しているところでございますが、その検討結果を待ち、最終的には私が判断したいと考えております。

(3)  減税に伴う行財政改革に対する市長の考え方

減税実施に伴う財源の確保につきましては、事務事業の見直しその他徹底した行財政改革の推進による歳出の削減を行うとともに、歳入の確保に最大限努めてまいります。

・ 平成22年度予算編成における各局への財源配分額は非常に厳しいものにならざるを得ませんが、その財源配分額に対応する徹底した見直し案を、事業に精通している各局長に出していただきます。

・ この夏に、私がリーダーシップをとり、各局長が提出した見直し案をもとに、全庁的に徹底的な議論をし、行財政改革を進めてまいりたい。

≪最後意見のみ≫

 市長あなたはけっして一人ではありません。

 経営アドバイザーのうしろ氏達が辞任しても名古屋市民の51万もの人が応援しているのです。

 宮崎県の東国原英夫知事は昨日、次期衆院選への立候補について「自民党総裁候補」となることを条件とした上で、「宮崎のために国政に行く」と意欲を示したそうです。

 任期中途で知事を捨てて国政に行くことはどうかと思いますが、河村市長にも民主党から総理の候補として国政の場で真の議会改革を目指して頑張っていただきたい。

 そのことが歴史に残る名古屋の河村市長ではなく歴史に残る河村総理として、やることは沢山あると思います。


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