議会質問
乳幼児揺さぶられ症候群について 【平成20年2月定例会】

親に対する啓発

 子どもが泣き続け、オムツを替え、ミルクを飲ませてみても、泣き止まない。泣きやまない赤ちゃんにいらだち、泣き止ませようとつい乱暴に赤ちゃんを揺さぶり、子どもの頭が激しく揺れることにより、子どもの脳に深刻なダメージを与え、時に死亡させてしまう。
 こうした激しく乳幼児が揺さぶられた結果、頭蓋内出血などを引き起こして、乳幼児の死亡や重度の脳障害などを残してしまうことを「乳幼児揺さぶられ症候群」と言います。

 初めて子育てをする親には、子どものあやし方や赤ちゃんがいつまでも泣き止みそうにないときにどうしたらよいかわからず、自制心を失ってしまうことがあるかもしれません。

 平成17年4月に発表された「児童虐待等要保護事例の検証に関する専門委員会」の第1次報告書の中にも、「子どもが泣き止まない」ことが引き金になり、虐待死に至る暴力を引き起こした事例が24事例中7事例(29%)にあったことが報告されています。

「乳幼児揺さぶられ症候群」による子どもの死亡や重度後遺症の発生をなくすために、赤ちゃんを激しく揺さぶることが危険なことであることや子どもが泣きやんでくれないなど子どもの扱いに困ったときにどう対処したらよいのかなど、親に対する具体的な指導や啓発が必要ではないかと思いますが、本市の取り組みについて子ども青少年局長にお伺いします。

 子ども青少年局長の回答》

 親に対する啓発

 乳幼児揺さぶられ症候群は乳幼児の死亡や重度の障害を引き起こす危険性があり、その発生を防ぐことは乳幼児の健やかな育ちを支援するために重要な課題であると認識しております。

 現在、母子健康手帳や父子手帳のほか、母子健康手帳の交付時に配付している冊子に乳幼児揺さぶられ症候群の予防について記載し、周知しておりますとともに、保健所や保育園など子育て支援に携わる関係職員に対する研修会を開催し、正しい知識の普及啓発に努めているところでございます。しかしながら、児童虐待の通告事例の中に、頭蓋内出血のあった事例もみられることから、さらに普及啓発していくことが必要であると思われます。

 議員ご指摘のように、乳幼児揺さぶられ症候群の予防について、子どもが泣きやまない時の対処方法なども含めた正しい知識の普及啓発をすすめていくため、今後は、出産直後の両親や家族に対して、新生児や乳児の訪問指導の折にリーフレットを配付し、周知してまいりたいと考えております。
 
また、子育て家庭をはじめ、広く市民の方にも理解していただけるよう、医療機関や保健所、子ども・子育て支援センターなどにおきまして、啓発ポスターやリーフレットによる一層の普及啓発に取り組んでまいりたいと考えております。

《再質問》

 乳幼児揺さぶられ症候群の親に対する啓発についてでありますが、生後5か月の長男の頭を激しく揺さぶり、「乳幼児揺さぶられ症候群(SBS)」で死なせたとして、傷害致死罪に問われた父親の判決が横浜地裁でありました。

 公判で、検察側は脳の状態から「意図的な暴行でしか説明がつかない」と指摘していますが、弁護側は「乱暴な『高い高い』のあやしでSBSが発症し、暴行の意思はなかった」と主張したそうですが、通常の「たかいたかい」ではSBSには、なりません。

 裁判長は虐待がSBSを招いたと認め、「親としての自覚に欠けた身勝手かつ卑劣な犯行」として、懲役5年を言い渡しました。先ほどのご答弁では、啓発ポスターやリーフレットなどにより、一層の普及啓発に取り組んでいただけるとのことですが、こうしたこと事件を一件でもなくすために積極的に努めていただくことを要望します。


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