スクールカウンセラーの効果的な活用方法 【平成18年6月定例会】
 先日、奈良県で16歳の少年が自宅に放火をし、母親と2人の弟、妹が焼死するという大変痛ましい事件が報道されておりました。幸い本市においてはそのような痛ましい事件は発生しておりませんが、このような事件はどこにでも起こりうることであります。 加害者となった少年は、有名進学校の高校1年生に在籍をし、「将来は父のように医者になりたい。」という夢を語っておりました。一家は近所でも評判の教育熱心な仲良し家族と言われ、少年自身も小学校時代から成績が良く、所属していたサッカーチームでも中心メンバーでありました。
 この事件が私たちにショックを与えましたのは、少年の行動が、身近に接している家族や友人にとって、全く予想できなかったという点であります。
 人知れず大きな悩みを持っている児童が、少なからずいる現実  
 このように突如犯罪を引き起こす少年はまれではありますが、思春期の子どもたちの心は、様々ゆれ動き、周りの大人が理解できない行動をとったり、本人自身も心と体のバランスがうまくとれなかったりして、時には、深く悩み、一人では立ち直れないほど傷ついていることがあります。
 さらに、思春期の入り口とも言える小学校の児童の中にも深い悩みを持ち、だれにも言えず、だれにも悟られず、一人悩んでいることもあるのではないでしょうか。小学校の先生からも、「小学校でも、人知れず大きな悩みを持っている児童が、少なからずいる」と耳にしております。
 スクールカウンセラー 小学校での活用の拡大を
 さて、本市では、こうした子どもたちの心の悩みを受け止め、そのケアにあたるべく、スクールカウンセラーが、全中学校に配置されているとのことであります。本来、子どもたちの悩みを受け止めるべきは、身近な家族であり、学校の先生であり、時には親しい友人であるはずです。しかし、社会の変化に伴い、子どもたちのもつ悩みは様々であり、一人一人の心の奥底にある「思い」は、時には不透明で見えにくかったり、大人が理解したつもりでいても的はずれなものであったりします。
 大人自身も、子どもたちが見せる姿や言動にとまどい、どのように導いてやったらよいか、不安を感じているのが現状ではないでしょうか。

 そこで求められるのは、専門的な知識と技術を持つカウンセラーであり、教師とは違った立場で子どもたちを見守り、支える意味で重要な存在であると考えます。本市では、全中学校・全高等学校にスクールカウンセラーを配置拡大し、相談時間数の確保に向けて取り組んでいると認識しておりますが、その現状について教育長にお尋ねしたい。また、小学校での活用について今後、どのように活用するお考えなのかお尋ねします。
 スクールカウンセラーの養成講習 民間機関の利用を検討してはどうか
 スクールカウンセラーの活用については、平成17年度には、小学校での活用時間が1校あたり平均18時間活用では、充分な相談はできないと思います。小学校での活用時間をより多く確保したり、活用形態を工夫したりするなど、弾力的な運用方法について検討してまいりたいとのとの答弁ですが、最近の中高生による凶悪な犯罪の発生などを見て、各地域の教育委員会は、スクールカウンセラー制度の充実を急ぎ始めています。
 文部科学省が推進するスクールカウンセラーの派遣対象は、3学級以上の公立中学だけでも約1万校あり、まだまだカウンセラーの数の方が不足していると言われております。

 スクールカウンセラーになるためには、臨床心理士、精神科医、大学教員の資格が必要です。ただし、実際には臨床心理士の資格保有者が9割程度を占めていると聞いていますが、他にも、学校心理士(日本教育心理学会の認定による資格)などを持つ者が「スクールカウンセラーに準ずる者」として認定されることがありますが、報酬などが若干安いようでありますが、文部科学省からの予算も削られていると聞いています。民間の機関でスクールカウンセラー養成講習などを検討されては如何でしょうか。


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