今月、春日井市役所の職員(49歳)が非常階段で自殺しているのが発見されました。自殺された男性は今年4月に異動があったものの、上司は自殺に思い当たる節はないとする新聞報道がありました。大変悲しい出来事であります。全国の自殺者数が、過去8年連続で約3万人をこえており、大きな社会的問題となっております。背景には、うつ病に罹患した人の自殺も多くあると聞いております。
うつ病は、憂鬱感や無気力な状態が長期間続き、不眠、頭痛などの身体症状も現れます。こうしたうつ病に関する情報はあまり知られていないのではないでしょうか。うつ病に関する知識を、多くの市民が知ることで早期に対応ができ、その結果、自殺予防にもつながると思います。 |
うつ病相談に精神科カウンセリングなど、多方面で対応できる窓口が必要 |
こうした中、この6月に「自殺対策基本法」が成立いたしました。この法律は国や自治体、事業主に自殺対策の責務を課すことにより、自殺予防対策を総合的に推進し、自殺の防止を図り、あわせて自殺者の親族などに対する支援を図っていくことなどを目的としております。
しかし、現状では、うつ病について相談することにためらいがあり、気軽には相談できない状況があるのではないでしょうか。法律だけでなく、精神科カウンセリングなど多方面で対応できる窓口が必要であると思います。行政機関でも、家族や本人がうつ病や自殺予防に関して気軽に相談できる窓口が求められております。
また、民間団体においても相談活動が行われておりますが、メンタルケアを行うカウンセラーは不足している現状にあります。そうした民間で活躍できるカウンセラーの育成に対する支援も重要ではないでしょうか。そしてもっと、うつ病に関する知識の普及啓発が必要ではないでしょうか。 |
不足している「名古屋いのちの電話」の相談員、民間の組織づくりに支援を |
そこで、名古屋市として今後どのように自殺予防につながるうつ病対策を進めていくのか。また、その相談窓口をどうして行くのか。さらに、うつ病に関する知識の普及啓発をいかに行っていくのか、以上3点について健康福祉局長にお尋ねします。
先日、「名古屋いのちの電話」の相談員が不足している新聞報道がありました。ここ数年、相談件数はうなぎ登りで年間2万件を超え、うつに苦しんだり家族や対人関係で悩んだりする現代人の多さを反映しているといえます。
相談員の9割が女性ですが、最近は定年退職後の奉仕活動で参加する五十代、六十代の男性や、職業を持ちながら勉強のために参加する若者もいるとしていました。相談員の不足の原因の一つには、受講の自己負担が7万円程度かかることがあげられています。自殺予防対策には行政だけでなく、こうした民間団体の活動も大変重要であると思います。
こうした自殺予防に関する活動をしている民間団体の組織作りなどをバックアップする施策を名古屋市として考えていく必要があると思いますが、所管する因田助役の御所見をお伺いします。 |
民間団体の組織づくりのバックアップへ向け調査 |
≪市の回答≫
市民が希望を持ち、いきいきと暮らせる住みやすい地域とするためには、自殺という問題は、社会全体の問題として捉えることが必要でございます。
自殺につながる心の健康の問題は、例えば子育ての悩み、多重債務を抱えた経済的な悩み、職場・仕事での悩みや、介護の悩みなど、大変広範囲な要因が考えられます。心の問題で悩んでいる人に対する相談機関は数多くあり、例えば、公的機関としては、保健所で行っている「子育て総合相談窓口」など、民間の機関としては、医療機関で行う「勤労者心の健康電話」などがございます。
「名古屋いのちの電話」もそうした相談機関のひとつでございまして、その相談員が不足していることは、承知をしております。これらの民間団体の組織づくりのバックアップにつきまして、どのような支援ができるのか、団体などと連携を図る中で、今後幅広く調査してまいりたいと考えております。 |