化学物質から人体を守る環境づくり 【平成17年6月定例会】
 化学物質から人体を守る環境づくりについて2点質問をしたいと思います。
 一点目は、シックハウス症対策についてであります。シックハウスとは、住宅内に放出された化学物質の影響により、目の痛み、頭痛、吐き気などさまざまな健康被害を生じさせる現象のことです。症状は人によってさまざまですが、未解明な部分があり、学校など公共施設などで、特に健康被害について問題となっております。
 学校など公共施設などでのシックハウス症対策
 人体に悪影響を及ぼす化学物質は、揮発性有機化合物、ホルムアルデヒド、トルエン、キシレン等、防虫剤、殺虫剤などに含まれる化学物質などさまざまなものがあります。これらの化学物質は、建材に使用された接着剤や塗料、防虫剤などから放出をされ、室内の空気を汚染するものであります。
 シックハウスを防ぐには、住宅内にVOC(揮発性有機化合物の略)-を放出させないことが一番重要です。そのためには天然材の建材を多く使用したり、VOC放出量の少ない建材を使用することが必要です。ただし、それでも住宅内に発生するVOCを完全に防ぐことは困難です。というのも、VOCは建材などからだけではなく、家具や芳香剤、殺虫剤、それにたばこの煙などからも発生することがあるからです。
 私たちの身の回りには、プラスチック、塗料、合成洗剤、殺虫剤、医薬品、化粧品、農薬など数多くの製品があふれています。これらはすべてさまざまな化学物質を利用してつくられており、化学物質は私たちの生活にはなくてはならないものになっております。このように有用である化学物質も、その製造、流通、使用、廃棄の各段階で適切な管理が行われなかったり、事故が起きれば深刻な環境汚染を引き起こし、人の健康や生態系に有害な影響を及ぼす恐れがあります
 過敏症の子、殺虫剤の残留を恐れて小学校を休校
 私が相談を受けているケースでありますけれども、小学校で殺虫剤が使用されるときに、過敏症のお子さんの保護者の方が安全な薬剤を学校へ持っていき、利用するように学校にお願いをしました。ところが、そのお子さんの教室とその隣の教室のみ安全な薬剤を使用して、ほかの教室などは従来の殺虫剤を一斉に散布をしたそうです。
 翌日、そのお子さんはその殺虫剤の残留を恐れて、学校を休んだそうですけれども、その親御さんは、「殺虫剤のために学校に行けないのは困ります。子供の学習する権利を守ってください」と、私に訴えられました。
 この事例のお子さんはいわゆる化学物質過敏症と言われるものですが、まだ聞きなれない人も多いかと思います。病名や定義も完全には決まっていませんが、従来の中毒という概念からは考えられないほどの微量の物質で、アレルギーのような反応が起こり、さまざまな症状を来たす疾患であります。そして、その原因となる物質の特定、発症のメカニズム、因果関係などについては、現在、国レベルにおいて調査研究の段階であると聞いております。
 この病気の対策としては、住宅建築時において、化学物質を含む建築資材の使用規制を行うことも重要でありますが、市民のふだんの生活の中でも気をつけていかなければならないことがあると思います。
 そこで、シックハウス症候群についてどのような対策がとられておるのか、健康福祉局長にお伺いをしたいと思います。
 農薬や薬剤頼みの害虫駆除方法を考え直せ
 次に、農薬や化学物質の過度な利用について質問します。
 農薬や化学物質は人の生活にとって大変便利なものですが、一方では、過度に使用した場合には人体に影響を及ぼす恐れがあります。とりわけ住宅地周辺においては、農薬の飛散を原因とする健康被害の発生が心配されております。
 健康被害から人体を守るために、住宅地周辺の公園や街路樹の害虫駆除において、剪定や捕殺などできる限り薬剤に頼らない防除をすることが大切です。また、農薬を使用する場合に当たっても、誘殺、塗布、樹幹注入など散布以外の方法を検討し、やむを得ず散布する場合には最小限の区域での散布にするなど、その適正使用に留意することが大切です。
 農薬や化学物質の過度な利用を見直し、その抑制が必要
 一方、トイレや浴室など家屋内で使用する洗浄剤や消毒薬、さらには殺虫剤など、私たちが目にする化学物質は多岐にわたっています。こうした化学物質は、安易な使用や誤った使用で有害物質が発生し、健康被害が発生することも決してまれなことではありません。私たちは農薬や化学物質の過度な利用を見直し、その抑制に努めていかなければならないと考えるものであります。
 そこで質問ですが、本来は関係する局長すべてにお答えをいただきたいところでありますが、この事柄でありますので、健康福祉局長に化学物質の適正使用についてお考えをお尋ねしたいと思います。

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