新型インフルエンザ治療薬タミフルの備蓄について 【平成17年11月定例会】
 新型インフルエンザは10年から40年間の周期で不連続に出現し、世界的に大きな流行をもたらしてきています。
 近年、東南アジアなどにおいて鳥インフルエンザがヒトに感染し、死亡例が報告されております今般、高病原性鳥インフルエンザの発生が、ヨーロッパで報告されるなど拡大が見られる状況にあり、突然変異によるヒトからヒトへ感染する新型インフルエンザの発生の危険性が高まっております。
 最悪の場合、患者数は1300万人〜2500万人
 国際的な対応として、WHO(世界保健機構)は、本年5月に「世界インフルエンザ事前対策計画」を発表し、各国がこの対策計画を基準として自国の国民を守るための行動計画の策定を求めています。
 厚生労働省では11月14日に新型インフルエンザが発生した場合の行動計画を公表しました。国内で大流行した場合は、厚労相から非常事態が宣言されます。大規模施設や興行施設など、不特定多数の集まる活動は原則すべて自粛を勧告、学校の臨時休校を要請、症状の認められた従業員の出勤停止や受診を勧告といった対策をとることになるようです。
 最悪の場合、全人口の25%がインフルエンザに罹患すると想定していて、その際、医療機関に受診する患者数は1300万人〜2500万人になるとして、インフルエンザ治療薬「タミフル」=写真=の備蓄量も、官民あわせて2500万人分を目標にし、来年度中の確保(内訳は、国が1050万人分、都道府県が1050万人分、民間が400万人分)を目指すそうですが、本当にそれで間に合うのか心配です。
 タミフルに頼らざるを得ない状況
 こうした中、日本小児感染症学会でタミフル服用後の異常行動による2件の死亡例が報告されました。
 14歳の男子は、自宅マンションの9階から転落死し、17歳の男子は、素足で家を飛び出してトラックにひかれました。厚生労働省による昨年6月時点での集計でも、「タミフル」を服用した14人が幻覚や異常行動、意識障害などを訴えていたということが分かっているようです。
 これらの異常行動と「タミフル」の関係が有るのか無いのか、「調査が必要」という段階のようでもあります。しかしながら、「タミフル」に頼らざるを得ないという状況であることにも変わりはありません。
 「名古屋市独自でタミフルを備蓄」を提案
 国の行動計画の中で最も重要なことは、新型インフルエンザの治療薬とされておりますタミフルの備蓄と考えています。タミフルの備蓄は、国と都道府県で行うこととされているところですが 愛知県においては備蓄がほとんど進んでいないと聞いております。こうした状況のなかで、近い将来、発生が懸念されている新型インフルエンザ対策として愛知県の対応を待つだけでなく、本市独自でタミフルの備蓄に取り組むことはできないのでしょうか。
 また、本市が独自にタミフルを備蓄したとしても、新型インフルエンザがひとたび発生すれば、感染者数が全国で2500万人が想定されており、単純計算で本市においては40万人の方が感染する試算となります。そこで健康副支局長にお尋ねします。新型インフルエンザに対する本市としての対策について、どのように考えておられるのかお伺いします。。
 備蓄のための購入ルートを国に一本化する方向で検討
≪回答≫
・本市独自のタミフルの備蓄
 本市において、独自にタミフルを備蓄するべきではないかというお尋ねでございますが、厚生労働省は、ダミフルの備蓄について、医療機関や流通段階での偏在による不足を防ぎ、新型インフルエンザが発生したときに、有効利用ができるようにするため、備蓄のための購入ルートを国に一本化する方向で検討しているとのことでございます。本市といたしましては、タミフルの備蓄に関し、愛知県に対して、引き続き早期に必要な量を確保されるよう要請をしてまいります。
・対策
 新型インフルエンザに対する予防対策ですが、基本的には通常のインフルエンザの予防対策と同様でございます。手洗いと、うがいの励行、外出時のマスクの着用などをしていただくことで感染予防に効果があると考えております。市民の皆様に対して、このような予防策や新型インフルエンザに関する情報を、ホームページなどで提供するとともに、保健所に相談窓口を設置するなど、より一層広報に努めてまいりたいと思います。
 また、万が一、新型インフルエンザが拡大した場合には、タミフルが不足するのではないかと懸念しております。このような場合、本市といたしましては、愛知県及び国に対し、薬剤の確保を強く要請するとともに、周辺の自治体へ協力を依頼するなど、タミフルの確保に努力してまいりたいと考えております。

inserted by FC2 system