耐震偽造問題に対する名古屋市の対応 【平成17年11月定例会】
  建築基準法では人口25万人以上の市は、建築主事を置かなければならないとしています。国土交通大臣が資格者と認めた者が行う場合は、建築主事に代わり確認することができることとなっております。
 一般市民にとって自宅の取得は生涯のうち最大の金銭の支出であり、今後何十年と住めるということを前提にローンを組み決断したものであります。また、取得する者は、建物の強度を含め適格な建築確認を受けたとする建築主を信用するより方法がありません。
 耐震構造計算書を偽造した姉歯建築士を、国土交通省は建築基準法違反容疑で刑事告発しました。各地で調査が始まり、「偽造物件」が次々と明らかになっています。国土交通省は、建築士のモラル低下や自治体、民間検査機関の建築確認体制のずさんさを受け、法令順守の徹底策などを検討するとしています。
 現在の制度では、民間が建築確認したものについては、その確認申請図書の一部である「建築計画概要書」のみが市に送付され、それについてのみチェックされており、図面や計算書は添付されてこない仕組みとなっております。今回のような事件が発覚し、見逃してしまう事実がある以上、対応を見直す必要があると思います。
 市民に広がる不安 今後の対応策
 名古屋市民が居住する住宅には欠陥がないことを祈るばかりでありますが、東海地震・東南海地震が心配される中で、自宅に欠陥があるのではないかと心配している市民も多いと思います。 
 建築指導行政を行う立場から、当局としてどのように認識しているのか、また、今回の事件を踏まえて原因はどこにあったのか、当局として今後どのように対応されるのか。建築主の瑕疵による欠陥が見つかったときに、財政支援は難しいと考えられるが、財政措置以外の支援策を行われる考えはあるか。住宅都市局長にお尋ねします。
 チェック機能が正常に働くような仕組みに修正
[回答]
・構造計算書偽造問題にかかる認識
 今回の問題は、国家資格を持った一級建築士が構造計算書を巧妙な手口で偽造を行った前代未聞の話であり、非常に遺憾に思っております。建築物は安全である、との市民の信頼や安心感が、特異な事例とはいえ、少なからず覆ってしまったのではないかと懸念しています。
・今回の問題の原因
 建築物が完成するまでには、設計、建築確認、施工、工事監理、完了検査など多くの段階があり、今回の偽造問題については、それぞれの段階でのチェックが適切に機能していなかったことが原因と考えられます。今後は、これらのチェック機能が正常に働くような仕組みに修正していくことが必要であると考えております。
・防止策
 この問題を受け、国におきましては、指定確認検査機関制度をはじめ確認検査制度、建築士制度など、建築確認業務に関連した制度の見直しを表明しており、議員ご指摘の国や自治体が民間確認機関の確認を再チェックする仕組みも検討事項のひとつであると伺っております。本市といたしましても、今の段階では、その検討経過を注意深く見守ってまいりたいと考えております。
 安全検査を実施できる態勢の整備を要望
 耐震強度偽造問題につきましては、偽造発覚は氷山の一角だと心配している方もおられますが、大半は、まじめに仕事をされている民間検査機関や建築士の方です。そうした方々いらない汚名を受けないように安全検査を実施できる態勢整備を進めていただくことを要望いたしまして質問を終わらさせていただきます。


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