天白川の治水に関する市の姿勢と保安林の必要性 【平成16年9月定例会】
 この質問は、昨年お亡くなりなられた近藤たかあき議員の質問を引き継がせていただきました内容となっておりますので、予めご承知おきいただきたいと思います。
 平成12年9月11日に発生した東海豪雨=写真:天白区野並地区=は、天白川流域で最大時間雨量77ミリを記録し、総雨量は年間総雨量の約3分の1にも及ぶ556ミリとなりました。この集中豪雨により、天白川の沿川で発生した被害は、浸水面積約1000ヘクタール浸水戸数は8,200戸、想定被害総額は約3500億円に達し、伊勢湾台風以来の大水害となりました。
 こうした被害を受け、平成12年度から概ね5年間で緊急的な治水対策を実施する、河川激甚災害対策特別緊急事業の採択を得ました。愛知県はこの事業により、洪水を安全に流下させ、越水、破提による不安を解消するとしています。
 天白川の水源の森である広大な東部丘陵地で開発問題
 しかし、近年、東部丘陵地において、瀬戸市の業耐火粘土などの採掘のために鉱業法による鉱業権の設定手続きが中部経済産業局に対して進められ、平成13年8月3日に区域を減少させながらも約33ヘクタールナゴヤドームのグランドの25倍の鉱業権の設定を許可しました。
 天白川の水源の森である広大な東部丘陵地は、保安林として守られてきました。その森が粘土採掘のために切り崩されようとしています。もし愛知県が保安林を解除すれば、水源の森は、禿山となり、大雨が降れば天白川は一気に増水し、名古屋へ流れ込むこととなります。
 東海豪雨のような水害から市民の命・財産を守るためには、この上流の開発をとめなければならないと考えます。このような状況下、森林を保全しようと、流域住民を含めた様々な機関が取り組みをされております。
 日進市議会や多くの市民団体が、東部丘陵保全に立ち上がるも目処たたず
 日進市議会においては、平成12年には、内閣総理大臣に「日進市東部丘陵地域の環境保全に関する意見書」を提出し、また、平成16年3月24日に東部丘陵における保安林解除の取り扱いについて、強い反対意見を愛知県に提出することの請願書」を、日進市議会で採択がされております。
 鉱業権の問題が持ち上がって以来、多くの市民団体が東部丘陵保全のために取り組まれておりますが、保全に対する実効性のある目処はたっていない状況です。
 保安林解除の手続きについて、愛知県が利害関係者の意見を聴取すると聞いておりますが、この当該保安林の解除に利害関係を有する市町村長の意見聴取について名古屋市としては、利害関係を有すると考えますが、この点ついて、緑政土木局長の見解を伺いたいと思います。
 東海豪雨のような水害を防ぐため、東部丘陵地の保安林は必要
 平成12年の東海豪雨、本年7月の新潟・福島豪雨、福井豪雨9月5日の瑞穂区を中心として集中豪雨では甚大な被害をもたらしたところです。
河川、下水道の整備は、時間と予算がかかります。それ以外の対策としては、流域全体の保水能力を確保することが重要であると思います。特に、川は上流から下流に流れることから、上流の森の保水能力が下流の洪水には密接に関係があるといえます。
 天白川上流の東部丘陵地は、まさしく「緑のダム」であり、水源地のみならず、下流域の日進市や名古屋市を洪水から市民の生命と財産を守り、安全を確保しているといえます。
 保安林の解除に関係する名古屋市の行政の立場で、こうした現状について、保安林は必要と思いますが、緑政土木局長の見解をお伺いたします。
 名古屋市の直接的な関与は難しい
≪回答≫ 
 保安林は、河川流域において緑を保全し保水能力を高めることから、治水の安全面からのみならず、良好な水環境の形成といった面からも必要であると考えております。本市には、水源のかん養を目的とした保安林はなく、雨水の流出を抑制する目的では、本市施設に雨水流出抑制施設を設置するとともに、民間施設等に対しても普及を図っているところです。 
 森林法に基づく保安林解除の利害関係者としては、名古屋市の直接的な関与は難しいと考えております。 
また現在、県において、天白川の今後20〜30年の河川整備計画を策定中であることから、安全性の確保についても、強く要請していきたいと考えております。

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