児童虐待防止へ地域ボランティアに支援を 【平成16年2月定例会】
 岡山市で、長女の頭を足で数回けりトースターを投げるなど暴行し、硬膜下血腫で死なせる事件がありました。岡山市内のアパートに2カ月ほど住んだ後、長女は乳幼児検診を受けていなかったため、市の児童福祉担当課は虐待をキャッチできなかったとしています。
 山形県では、幼児に十分な食事を与えなかったうえ、エアガンで撃ったり、高熱のシャワーを浴びせたりするなどの暴行を繰り返して、衰弱させて殺害した事件がありました。
 埼玉県では、市民団体が106校にアンケートを行いました。その内容によりますと 小学校の9%、中学校の18%に性暴力や性的虐待を受けた児童・生徒に遭遇した教員がいることが明らかになりました。「義父の性暴力」「義父の性的被害」など深刻な事例もあったとしています。
 大阪府岸和田市では、中学生虐待事件を契機に調査が実施されました。具体的な事例としては、身体への直接的な暴力や厳しい叱責のほか、弟妹の世話をさせるため満足に学校に登校させてないケースや保護者自身が自立神経失調症であったり、自殺未遂、アルコール依存症など心的不安を抱えていたりするほか、家に戻らない、食事の準備をしない、放任しているという問題も含まれていたそうです。
 いかにして虐待情報を早期にキャッチするか、その体制ができているか?
 児童虐待の多くは家庭内でおきるため発見が難しく、比較的児童と接する時間の長い学校の先生でも気が付かず、第三者の通告により初めて虐待の事実が判明することが少なくありません。虐待を受けた子供を救うためには、早期発見・早期対応が何よりも重要です。
 本市の場合、虐待の相談窓口は児童相談所、各区役所の民生課児童係等がありますが、これらの機関が自ら虐待を発見することは事実上無理であります。いかにして虐待の情報を早期にキャッチするか、その体制ができているかが重要になるわけですが、問題はここです。
 現在は、お互いに他人の家庭内の内情に干渉しない傾向が見られます。隣人同士の関係においても同じです。例えば、近所の家庭で子供の泣き声や叫び声が長時間聞こえたり、限度を超えていることがある場合、あるいはその子供の衣服や体がいつも極端によごれている、不自然な傷が多い場合など、こんな場合は虐待があることが予想されるわけですが、それがわかっていてもなかなか当の親に言いにくい雰囲気があります。
 その子供がSOS信号を発信しているにもかかわらず、また、一次的に信号の受け手があったにもかかわらず、信号は対応窓口まで届かないこととなります。こんな時に、その仲介者的な立場の人がいれば、子供の信号は対応窓口に届きやすいのではないでしょうか。
 子供の相談全般を受け持つボランティアを募集し育成する組織作りを
 現在、地域には児童委員の方がおられますが、ご承知のように、児童委員の方は民生委員の職を兼ねており、地域のお年寄りの相談にものらなければならず、さらに、受け持ち世帯はお一人200世帯を超えております。これではいくら委員の方が頑張られても、その活動には限界があります。
 そこで、提案ですが、地域毎にきめ細かく子供に関する情報を集めるシステム作りが必要ではないでしょうか。もちろん、財政状況が非常に厳しい折、役所の組織を充実してこれに充てることはとうてい無理だと思います。
しかし、役所としての組織でなくとも、例えば、子供の相談全般を受け持つボランティアを募集し、育成をすることは可能ではないでしょうか。この場合、できるだけきめの細かい活動をお願いしたいですから、設置は少なくとも町内会単位が望ましいと思います。
 加えて、この業務は区政協力委員など、他の職に就いている方に兼任をお願いするのではなく、是非とも専門的に従事する職としていただきたいと思います。
 児童虐待を早期に発見し、苦しんでいる子供を一刻も早く助けてあげたいと思う気持ちは誰しも共通だと思います。そのためには、地域毎にきめ細かく子供に関する情報を集めるシステム作りが是非とも必要だと考えますが、いかがお考えでしょうか。健康福祉局長に答弁を求めます
 ボランティアと協力して、児童虐待防止に向けた活発な地域活動に取り組む
≪答弁≫
 現在、学区に主任児童委員を委嘱し活動して頂いているが、従来、学区に1人であったものを13年度において2人にした。その活動は、親や子どもが直面する問題を解決していく役割とされている。
 現在、地域での子育て支援=子育て支援ネットワークづくりにとりくみ、点から線、線から面への広がりを図るべく、16年度予算案の中でも新たに子育て情報プラザにおける子育て支援コーディネート事業、子育て支援サークルなどへの支援事業、保育所子育て支援センター事業等を予定している。
 この中で、多くの地域において、主任児童委員や子ども会活動にかかわる方々、子育て支援にかかわるサークル等ボランティア等々と、児童相談所、保健所、保育所、子育て情報プラザ等が協力して、その活動の一つとして児童虐待防止に向けた活発な地域活動にも取り組んでいきたい。
 こうした、社会全体での支援を通して、本市子育て支援長期指針の基本目標である「子どもの笑顔あふれるまちなごや」を目指したい。


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