愛・地球博の輸送対策について 【平成16年2月定例会】
 愛・地球博の観客輸送計画については、博覧会協会が基本計画を策定しており、万博に訪れる1500万人の来場者に対し、様々な来場形態にあわせたアクセスルートを確保し、観客が快適で円滑に来場できるように考慮するとともに、環境への負荷を軽減する輸送対策とそれを支える施設面・運用面の輸送システムを構築すると聞き及んでおります。
 観客輸送の基本計画では、来場者の約59%の方々の鉄道系利用を見込んでおります。そのうち約61%の方々がJR中央本線と愛知環状鉄道を経由し、八草駅から長久手・瀬戸会場へ行かれ、約25%の方々が地下鉄藤ヶ丘駅を経由し、東部丘陵線を利用し長久手会場へ、約14%の方々が名古屋駅、栄などからシャトルバスで長久手会場へ行かれる想定となっております。
 博覧会協会が見込んでいるアクセスルートの割合に疑問
 しかしながら、来場者が基本計画にありますような割合でJR中央本線などを利用する八草駅からのアクセスルートを選択するのかは、はなはだ疑問であります。
 最も早く会場へ到達できる時間、また会場までの最も安い料金負担を考えた場合、地下鉄を利用し、藤ヶ丘駅から東部丘陵線を利用するアクセスルートを選択される方が、博覧会協会が見込んでいるアクセスルートの割合よりかなり多くなるのではないかとも想定されるところです。
 特に東部丘陵線はHSSTという珍しい乗り物のリニモ=写真=による運行で、これ自体が展示物としても、来場者の関心が高いところです。
 地下鉄・藤ヶ丘経由のアクセスルートに混乱が生じる不安
 こうしたことを踏まえますと、観客輸送の基本計画とは大きく異なり、藤ヶ丘経由のアクセスルートの利用割合はもっと高くなり、大きな混乱が生じるのではないかと危惧しており、混乱の生じないようあらゆる事を想定し輸送計画を策定する必要があります。
  名古屋市は愛・地球博の母都市として、輸送計画について、これまでどのような考え方で対応されてきたのか、現状における課題は何であるのか。今後、課題の解消等をどのように対応されていくお考えなのか。
 2004年を迎えて、いよいよあと1年です。万博をきっかけに、名古屋市が環境にやさしい都市として世界に自慢できるように、将来につなげることが必要と思いますが、どのように考えていらっしゃるのか、4点につきまして総務局長にお尋ねします。
 環境への配慮として、パーク&ライド方式を初めて採用
≪答弁≫
観客輸送の計画による具体的な課題としては3つございます。
 1つめは最大の課題ですが、マイカーの利用を抑制するとともに、先ほどご説明した輸送計画どおりの公共交通機関の利用を促進することでございます。
そこで、
 ・市内の方々にあっては主に地下鉄東山線のルートを、
 ・また、市外の、特に遠来の方々にあってはJR中央線のルートを推奨し、誘導していくことが必要であると考えております。
 2つめの課題は、こうした観客輸送計画の全体と方面別の最適ルートについて開幕前から徹底して広報し、浸透させることです。
また、会期中にあっては、博覧会協会がITSを活用し、会場に向かう来場者に道路、バス、鉄道などの交通情報をリアルタイムに提供していくことを計画しています。
 3つめとして、ゴールデンウィークや夏休み中の土・日など、特に来場者が多い日にあっては、藤ヶ丘駅で地下鉄と東部丘陵線の乗り継ぎ客の滞留が予想されています。
このため、特に来場者の多い日には、藤ヶ丘駅からのシャトルバスを臨時に運行したり、藤ヶ丘駅における混雑情報を名古屋駅などでリアルタイムに提供するなどの具体策について、博覧会協会や関係行政機関、そして交通事業者などとともに協議を進めているところです。

また、環境への配慮としては、
 ・観客全体に占めるマイカー利用者の割合を4分の1に抑え、公共交通機関利用割合を高くします。
 ・道路交通量の増加に伴う環境への負荷を分散させるために、会場内にはマイカー利用者用の駐車場を設けず、会場からおよそ20分圏内にある6箇所の場外駐車場から、シャトルバスで会場に向かうというパーク&ライド方式を採用します。これは国際博覧会史上初めてのことです。
 ・海上の森に負荷を与えないために、瀬戸会場を起点とする交通手段に低公害バスの導入が予定されています。愛知環状鉄道八草駅と瀬戸会場を結ぶシャトルバスにはCNGバスが、また、瀬戸会場と長久手会場の会場移動手段として、燃料電池バスが導入される予定です。


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