交通渋滞解消へロードプライシング制度の導入を 【平成15年9月定例会】
 ロードプライシングとは道路需要の効率化の考えから、交通が集中する道路に入る車に対して料金を課す課金システムのことです。その目的は、都市部などの渋滞が激しい地域の道路混雑解消をはじめ、インフラ整備の財源確保や環境問題の解決などであります。
 名古屋市では、交通混雑により都市生活や経済活動に様々な支障が生じています。交通渋滞の慢性化は経済効率を大きく損ない、排ガスによる大気汚染は、市民の健康をむしばんでいます。
 大気汚染が深刻なロンドンで導入、自動車依存型社会からの転換策として有効
 東京都は、自動車公害問題に対処し、快適で円滑な都市活動を実現させるため、都市交通の円滑化を図る総合的な施策に取り組んでいますが、その重点施策としてロードプライシング制度の早期導入が検討されています。2003年以降の導入を目指し、実用実験に向けた取り組みがなされているところです。
 一方、すでにロードプライシング制度を実施している都市もあります。ロンドンです。ロンドンではヨーロッパでも最悪といわれる交通渋滞により、週8億円ともいわれる経済損失が生じており、また、排気ガスによる大気汚染への深刻な影響が指摘されています。その改善策の切り札とされたのがロードプライシング制度であり、今年になって導入されました。
 名古屋市は、ご承知のようにマイカーの依存度が高く、公共交通機関とマイカーの割合が3対7となっています。この割合は東京では8対2、大阪では7対3となっており、名古屋市と完全に逆転しております。市長は、この割合をせめて4対6にしたいと以前からも広報なごや等で市民に訴えておられます。私も大賛成ですが、関係局の積極的な動きは一向に見受けられません。
 マイカーへの過度な依存を減らし、公共交通機関への転換を図っていくことが地域の活性化や環境改善につながると思います。そこで、自動車依存型社会からの転換策として有効であるといわれるロードプライシング制度導入に向けた取り組みができないものか。総務局長の見解をお尋ねします。
 導入には交通基盤の状況、導入コストなど様々な整理が必要
≪答弁≫
 自動車交通の増大に伴い、交通渋滞や交通事故、排出ガスによる環境負荷の増大など様々な問題が顕在化してきています。ロンドンでは、こうした交通問題を解決するため、長年にわたる調査検討を踏まえて、ロードプライシングが今年の2月に実施されました。
 この導入にあたっては、規制や課金に対する市民や企業の理解を得るための多大な努力がなされたと聞いておりますし、自動車交通量の減少や公共交通機関の利用増など一定の成果が報告されております。
 本市では、現在、「自動車利用の適正化を図り、公共交通への転換を促進する施策について」名古屋市交通問題調査会で審議を進めておりますが、公共交通利用を促進するだけではなく、自動車利用を抑制することも必要と考えております。
 ロードプライシングはその手段の一つではございますが、都市の特徴、交通基盤の状況、市民の交通行動様式、導入コストなど、様々な側面から、調査会の審議の中での整理が必要であると考えております。


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