地域住民を主体とした景観・まちづくり 【平成15年9月定例会】
 名古屋新世紀計画2010では歴史・文化などを活用した魅力あるまちづくりを掲げています。この指針に従い、かつ、地域住民を主体とした景観・まちづくりを進められれば、地域の特性を活かした、まちの活性化が図られるものと思います。
 ここでいう地域の特性とは、町並みに象徴される伝統文化と史跡のことであります。
 地域のお荷物となっている歴史的史跡、改修期迎える歴史的町並みの建築物
 例えば、緑区におきましては、武家の文化と歴史を感じることのできる様々な文化的遺産が多く残っております。織田信長と今川義元との桶峡間の合戦場跡は皆さんもご存知のことと思います。他にも大高城跡、鷲津砦、丸根砦、善照寺砦、鳴海城跡など、多くの史跡が点在しており、歴史上大変貴重な地域であるといえます。
 しかし、これらの史跡の現状は、維持管理に手がかけられていないため荒れ放題となっており、雑草に覆われて見る影もない有様です。貴重な歴史的史跡であるはずが地域のお荷物となりかねない状況です。
 一方で大高町、鳴海町、有松町=写真=と昔ながらの町には、歴史的なたたずまいを有した町並みが存在しています。この町並みを創り出している建築物の多くが改修期を迎えていますが、今後、所有される方々が個々に改修を進められますと、調和のない建替えにより町全体のたたずまいが喪失してしまうおそれもあります。
 歴史的なたたずまいを有した町並みはそれ自体が地域の財産であり、これを活かすことができれば地域の活性化も図れます。地域の活性化は、その地域がもつ特性を生かし伸ばしてこそ、最も無理なく図られるのではないでしょうか。
 大切に管理・継承し、再生を図っていくことで地域を活性化
 緑区の史跡・町並みを例にとりましたが、名古屋市全体に目をむけてみれば、歴史あるたたずまいを残す地域や史跡は他にも多くあります。私はこういった歴史・文化を伝える地域や史跡に着目し、これを大切に管理・継承し、また再生を図っていくことにより地域の活性化を図ることができるのではないかと思います。
 もちろん、町並みは個々の家屋・所有者から成り立っているので、行政の一方的な価値判断を押し付けるわけにはまいりません。また、史跡についても、これに幼い頃から慣れ親しんでこられた地域の方々がいます。
 大切なことは、あくまでも市民を主体として景観の保存を図りつつ、いかにまちづくりを進めていくかということです。
 こうした取り組みには、町内会や商店街等の組織を基盤としつつ、区役所と地域が一体となってまちづくりを進めることができる組織づくりが大変、重要だと思いますがいかがでしょうか。
 また、自治体はこのような市民主体の景観・まちづくりの推進をするために、伝統文化の継承と史跡の活用をより積極的にすすめる必要があると思いますがいかがでしょうか。それぞれ関係する局長の所見をお尋ねします。
 町並み保存や史跡の保存は、地域の方々と共に取り組んで行くことが大切
≪答弁≫
■教育委員会の答弁
 本市では、古い町並みが残る有松地区、白壁・主税・橦木地区、四間道地区及び中小田井の4地区を町並み保存地区として指定し、町並みの保存に努めているところでございます。
この4地区においては、保存の為に修理・修景を行う所有者の方に対して、名古屋市町並み保存要綱により、その費用の一部を補助し、古い町並みの景観と、それぞれの町の特性に配慮した町づくりを進めてきたところでございまして、地域住民の方々とともに、町並みの保存に努めているところでございます。
 また、議員ご指摘のありました史跡につきましては、今日まで私どもに残されてきた貴重な文化遺産でございまして、こうした史跡は、文化財保護法の主旨に従い、できるかぎりあるがままの姿で保全しているところでございます。町並み保存や史跡の保存につきましては、地域の方々とともに取り組んで行くことが大切であると認識しております。
■市民経済局の答弁
 本市では、地域の魅力や資源を生かして、特色あふれるまちづくりを進めるために、各区におきまして「特色ある区づくり推進事業」を展開しております。
 緑区におきましては、区内の文化的遺産を見直そうと、平成12年度から「歴史文化交流支援事業」を立ち上げまして、歴史資源の調査や、郷土史の学習などの活動を行っております。具体的には、公募により参加者を募り、区民の方と区役所との協働によりまして、区内に点在します史跡を調査するとともに、講演会を開いたり、チラシを作成して、広く活動紹介をしたりしています。
 こうした活動の中から、行政の施策に反映できるものは反映させ、地域の歴史や伝統、地場産業などを生かしたまちづくりにつなげていきたいと考えております。


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