災害時における市営交通の活用 【平成15年9月定例会】
 交通局において、平成14年度から整備が進められているバス運行総合情報システムは、運行中のバス位置を把握することによってバスの運行管理を行い、その情報を基にバスの接近情報を利用者に対して提供するもので、サービス向上の点からは、大変便利になるものと思われます。
 同時に、全てのバス車両に無線が備えられることとなり、バス乗務員と営業所との間で通話が可能となることから、災害発生時における道路情報等を直ちに営業所に知らせることもできるようになります。
 バス運行総合情報システムで、災害時の路線状況把握が可能
 現在、市バス路線は全部で159系統709km、全市域を網の目のように巡っており、1日当たり11万kmを1000台を超えるバスが毎日走行しています。
 バス運行総合情報システムの整備以前には、バス乗務員からの連絡方法は公衆電話を使うといった方法しかなかったのですが、バス運行総合情報システムの整備により全てのバスに無線がつき、水害等の災害発生のときには、路線状況が走行中のバスからリアルタイムに情報が伝えられるようになるわけです。
 災害発生時には、道路に関する情報は各区の土木事務所等により収集が行われるわけですが、その職員数も限られており、常時これだけのバスが走行しているわけですので、ここから得られる情報を単にバス運行の管理のためだけに使うということでは、大変もったいないことと思われます。
 せっかくの情報を無駄にしないよう、バス運行総合情報システムで得られた情報が、市や区の災害対策本部に伝わるような手立てを講じるべきと考えますが、このシステムの運用を行う交通局としてどのように考えているのか、お尋ねします。
 住民の避難や救援物資の輸送に市バスを活用
 次に、災害発生後の住民の避難や救援物資の輸送に市バスを活用できないか、お尋ねします。風水害や地震災害が発生した場合の人員や物資の輸送は、応急対策活動の基幹となるもので大変重要なものです。
 名古屋市地域防災計画では、人員や物資の輸送に関して、乗合自動車については交通局及び民間各社から調達することとされています。しかしながら、災害発生後の対策については、民間の力も活用することも必要ですが、まずは行政が全力をあげて行うべきものと考えますが、交通局として、住民の避難や救援物資の輸送に、1000台以上ものバス車両をもっと積極的に活用する考えはないか、お尋ねします。
 また、災害発生後の対応を的確に行うためには、日頃の訓練の重要性は言うまでもないことですが、先日行われた本市の市民総ぐるみ防災訓練に際して、各区で行われた訓練に、名古屋市地域防災計画で人員や物資の輸送を担うものと位置付けられている交通局が参加していなかったということですが、防災訓練への対応について交通局の考えをお尋ねします。
 災害時、市バスの積極的な活用を検討
≪答弁≫
■バス運行総合情報システムを通じて収集した災害時の道路状況等の情報を、市全体で活用してはどうか、というお尋ねでございます。
 現在、整備を進めておりますバス運行総合情報システムにつきましては、お客様への情報提供の充実と、災害時等において運行管理を適切に行うことを目的とするものでございまして、平成16年度までに整備が完了します。交通局といたしましては、議員ご提案の道路状況をはじめとして、バス運行総合情報システムで得られました情報につきましては、交通局として集約したうえで、市の災害対策本部へ報告してまいりたいと考えております。
■発災後における住民の避難、物資の輸送等に市バスを積極的に活用してはどうか、というお尋ねでございます。
 交通局といたしましては、災害の発生後におきましては、できるかぎり迅速に運行体制の確保に努めるとともに、災害対策本部などから住民の避難、物資の輸送などへのバス輸送の要請があった場合には、できるかぎり対応してまいりたいと考えております。
■防災訓練への交通局の参加についてのお尋ねにお答えいたします。
 交通局といたしましても、定期的に防災訓練への参加や自主的な防災訓練を実施しているところでございますが、地域におきましても、避難住民の輸送、緊急物資の運搬などの防災訓練には、関係機関と協議しながら積極的に参加してまいりたいと考えております。


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